いたた

最寄り駅の階段を登る途中、
上から浴衣姿の人が大量に降りてくる。
中でも目についたのが、かき氷の容器のように涼やかでところどころが空色な浴衣の人
それそのものが夏というタイトルを付けられるほどに夏だった。
そうしてその隣には友人達が集まって、花達がカラカラと笑っているような楽しい雰囲気だ。

暫くしても、駅には人がごった返していて
祭りがあることも知らなかった俺は駅で電車を待つ。

想像する。
家でも外でも一人ぼっち。
そんな今日、姿鏡で自分の見慣れない浴衣を何度も確認して
慣れない履物に足をそっと通し、首筋に一吹きの風が薄っすらと当たる。
駅には沢山の人がいて、それでも皆が誰かといる。
何だかそれがおかしくておかしくて、だって私はこんなに一人で
でもだから手は目一杯伸ばせるし、好きな歌だって自由に歌えるわ。

電車が来たのでそろそろ行くけど
向かう先はいつだって追われた後の地点だ。

淀儀 敵
2026/08/02 00:26